新たな男子漫画の予感。

にいみ「それ、何読んでるんスか?」
おじさん「『風の大地』。知ってる?」
にいみ「知らないですね、ゴルフ漫画ですか。」
おじさん「読んでみる?」

ってことで、
読み始めています。
1990年連載開始のゴルフ漫画。
おじさんは、
僕が4巻分読み終わったら
4巻分ずつ貸してくれます。

で、今、12巻まで読んだ、
ってことは、
1990年〜1995年まで。

はーっ、当時は
こういうキャラが主人公として
成り立っていたのか。

というのも、
一番頑張って練習した男子が、
いろんな先輩の愛と教えを全身に受けて、
一番ゴルフが上手くなって、
前向きで、
すぐプロになって、
ラッキーなことが続き、
女にもモテる。

分かりやすい。
いや、でも、
たしかに男子の漫画というのは
こういうことだった、と思い出す。
『スラムダンク』ですら、基本その流れをくむ。

しかし1998年に『バガボンド』が出て支持されて、
その流れが変わった。
頑張ったから強い、のでもないし、
ラッキーどころか、とても不幸な生い立ち。
先輩は道を教えてくれないし、
むしろ、立ちはだかる。
そもそも、「一番」て何なのか、を
主人公が悩んでいる。

1998年当時、それが何とも新鮮だった。
そうそう、いまの現実はそうなんだよ、と。
これに共感する20〜30代の男の気持ちは、
すごくよく分かる。

ところが今2010年、
1990年〜1995年の『風の大地』が、
逆の逆、すごく新鮮で気持ちよかった。

すこし「バガボンド疲れ」しているのか。
漫画によって、
そんなうまい話はない、
現実はこんなもんだ、と言われて。

そこまでは良かったんだが、
それでも自分は生きていかなきゃいけないわけで、
じゃあどうする、っていう話を、
うそでもいいから
『風の大地』みたいに描いてほしい、
と思う自分が、今、居ました。

寝る前に読んで、
さ、明日もがっつりギター練習しよ、って
思えるんです。
悩んでる暇あったら練習、とか、
俺はラッキー、とか、
くそまじめに練習したらいいことがある、とか、
うそでもいいから、
そういう「イメージ」を持つのは
僕にとって大事です。

1990年〜1995年の男子の漫画を
新鮮に感じるという変化は、
そういうことなのかなと思います。