お客さんは

本当にすごいなと思います。
野球のバッターであれば
3割打ってるわけでもなく、
サッカーのFWであれば
ゴールを量産してるわけでもない。
ときわさん(vo)と僕でやっていることは、
現時点で、誰もが直で感動できるような
「結果」をいつもいつも出せる音楽では
ないと思うんです。
草木なら花を咲かせる前の段階、
上にのびる前に、
土の中に根を張りめぐらせているような、
そんな時期が続くときもあるのかもしれない。
お金を払って来るからには
花を見たい、という
聞き手なら当然の気持ちがある一方で、
にもかかわらず、
まだまだこれから、という部分も
ひっくるめて
まるごと聞きにきてくださる。
幹や根っこも、である。
僕なんか、客としてものを見るときは
やっぱり最短時間で、
最小限の出費で、
花だけを見て帰りたい、
という貧乏根性丸出しである。
歌舞伎での、
良いかイマイチかをもひっくるめて
今日の玉三郎はよかった、とか、
今日の仁左衛門はイマイチだった、
という見方、
すごく余裕のある
ものの楽しみ方だと思う。
歌舞伎のご贔屓筋、
相撲や芸能のタニマチとは
本来こういう
「余裕を持って楽しむ目」を持った人たち
だったのではなかろうか、
としみじみ感じ入るものがある。
結果だけでない何かを
見てくれていると感じる。
演奏に呼んでくださるお店も、
だから同じ意味ですごい。
W杯予選で三連敗したら
もう監督の進退問題、
というこのご時世に、
ありがたい気持ちでいっぱいだ。
決してあなた方だけは
僕を分かってくれてるよね、
ということが言いたいのではない。
自分と理解者だけの
小さい輪の中でうぬぼれることは
作り手をダメにするだけで、
自分もそういうことだけには
なりたくないなーと思う。
自分個人のことだけではなく、
これからの音楽全体を
面白くしていくのに、
聞き手のこういう楽しみ方、
すごくいいと思う。
花が咲こうが咲くまいが聞きに行って、
まるごと楽しんでみようか、という。
ただし野球でもサッカーでも、
泥沼の15連敗、とかってなれば
誰も聞きに来なくなって当然。
現場で拍手の音の大小を聞けば
自分への評価というのは
痛いほど分かるもので、
そうやって、
時には温かく
時には厳しく
見ていてくれるお客さんが
いるということに感謝して、
またひたすら修行あるのみ、であります。
土曜日の白金クーリーズクリーク
来てくれてありがとうございました。
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8月6日(木) 7:00pm
(no music charge: 投げ銭制)
Cafe MURIWUI
東京都世田谷区祖師谷4-1-22-3F
(お店はこんな感じ)
●木下ときわ
●Love letter+1
(両方ともギターは新美博允)
大阪の友だち、竹腰さんの
ソロユニット Love letterと対バンです。
店内涼しい風が通るので冷房はありません。
とはいえ真夏です、
どうぞ薄着でお越しくださいませ。
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