良く鳴るギターと体。

この冬はとくにギターをよく練習したり録音したりで、
そうしていると、ウチに何本かあるギターそれぞれの
性格もよく分かってくる。
どうやったらそれぞれのギターが一番よく鳴ってくれるのか。
たとえばフランシスコ・バルバというフラメンコギターは
50年前のスペインの楽器で、
軽くて薄い木を使ったキレのいい、甘く太い音が出る。
チューニングを下げて弦の張りをすこしゆるめ、
弦と木の振動が釣り合うようにしたら
ばっちりバランスがとれたのだった。
5弦をA-440Hz、だとかいうのは
楽器本体よりも、人間界の都合。
それを弾いてて自分の気持ちがノッてきたら、
上手く調整できた証し。
・・・と、楽器をいじるのも楽しいのだけど、
ギターを鳴らすのは自分の体であって、
腕であって、筋肉であって、骨なわけだ。
自分の体で無駄に緊張しているところ、
毎朝寝転がって体の各部に注意をこらし、ゆるめる。
肩、背中、胸、首・・・、もうあちこち、
とくに胸の周辺がカチコチ。
それをほぐす動きを、
いつもやっているヨガや野口体操を応用して、
開発していくわけです。
これがもう面白くて、ぼくでもすでに2ヶ月くらい
続いてます。
首の緊張をとったら、
急に声が太くなりました。
背中をほぐしたら、
歩き方が変わりました。
座り方をかえたら、
正座が長くできるようになりました。
ぱっと見関連がなさそうなこと同士が
つながっているもんです。
それは感情にもおよび、
たとえば胸の緊張度が高いと、
「胸にこみあげる」「胸がざわざわする」
という気持ちは理解できない。
「胸にこみあげる」「胸がざわざわする」と
いう表現は圧倒的に女性が使う。
おおくの男性は大人になるにつれて
「男の子は泣かないの!」などと言われるたびに
知らず知らず、あえて胸を緊張させて
「胸にこみあげる」ものを
体でおさえ込むクセがつくらしい。
少なくとも演奏中は
「胸にこみあげる」ものを押さえなくてもいいよな、
うん、そりゃそうだ、というのが最近の結論で、
ハタから見るとそんなこと当たり前、なのである。
体の硬い赤ちゃんはいない。
成長とともに硬くなっていくのは、
体だけじゃなく、心の問題が大きい。
それが、音や声を「普通に」出すことを邪魔する。
どうやったらギターが良く鳴るのか、それは
どうやったら自分の体がよく感情の変化に響いて良く鳴るのか、
ということでもあると思ったのでした。


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