ウーゴ、マエストロでした

ウーゴ・ファトルーソ(p)&ヤヒロ(per)さんDUO、
久々にすごいものを見たな、って感じでした。
久々に、というか、初めてかもしれない。
「どこにも居付かない」感じ。
流れが止まらない。
何かをしたから、それと逆の何か、
とかっていう「居付く」発想がまったくないのでした。
ただひたすら前に流れていく。
演奏も、アレンジも、音使いも。
分かりやすくいうのはとても難しいけど、
漫画バガボンドの宮本武蔵が70人相手に1人で斬っていくときの
話があった。読んでる人っ、それに似ています。
ひとり相手に気を留めたらほかの誰かに斬られちゃうよ、
どこにも気を留めないで、流れる川のように斬っていく、
っていう話です。
ヤヒロさんと終演後にお話ししたときも、
始まりと終わりがあるんじゃなく、
ただ回転する流れに乗るんだ、というようなことを
話されていた。
20世紀の西洋音楽の「緊張と安定」のダイナミズムとは全くちがう原理で
音楽が成り立っています。緊張も安定もしない。
ただひたすら流れてました。もう、ほとんど「禅」です。
ウルグアイという、日本人からすると「どこ?」っていう
ところから、こういう音が響いてくるというのは、
ああ、本当に21世紀になったんだな、っていう実感すらありました。
20世紀の西洋音楽が「気持ちいい」のと、
まったく別の「気持ちいい」がある。
20世紀の気持ちよさにしがみついていたら、
この気持ちよさは分かんないかもしれない。何コレ、って。
ウーゴさん最後までとてもにこやかだったのだが、
終わりの3曲で垣間見たのは「厳しさ」でした。
ヤヒロさんのソロをピアノの前でうなずきながらじっと見つめる目は
もう完全に、人間国宝の職人さんでした。マエストロ=巨匠です。
音楽の道は美しくも厳しい。


3 Comments

  • 23 2008年10月12日 at 3:57 PM

    ばたやんさん
    それは残念、でもいずれまた機会があるといいです。その時は、ばたやんさんのご自宅でピアノに限らずワークショップとかやって頂けたら感動です。飲みながら^^。
    多くのミュージシャンが大きなヒントをもらえる予感がします。
    さぐぱにーるさん
    そうだったですかー、お客さんミュージシャン多かったみたいです。「musician's musician」という形容がありますが、確かにそんな存在かもしれません。今日は横浜ジャズプロムナードで演奏されてると思いますよ!

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  • さぐぱにーる 2008年10月12日 at 12:34 PM

    Vocalの知人も見に行ってイタくカンドーしてたみたいです。
    むむむ、見たかったなあ…。

    Reply
  • ばたやん 2008年10月12日 at 12:34 PM

    ウーゴ昨晩我が家に遊びに来る予定だったけど、昼間のレコーディングで疲れたと言ってNGになりました、残念。

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