石器時代のサンタクロース。

昨日は青山ブックセンター六本木店で演奏。
061219_194601
“真夜中のブックフェア”ということで本を20冊くらいリストアップし、店内に今日からひと月くらい棚が作られている。本の詳細はページ最後に。
今年はクリスマス周辺にライブイベントがたくさんある。今までのクリスマスはプレゼントやケーキを買って何気なくすごしていたのだけど、せっかくだからクリスマスにまつわる曲を作ったり話をさせてもらおうと思って、本をあさることでちょっとクリスマスに深入りしてみました。
「お金やモノを消費する祭り」に仕立て上げられている資本主義クリスマスですが、そうなったのは40年代アメリカから。実は新石器時代からあるんですね。幸せはカネじゃねえ!てやんでぇ!おれは日本人だ!と思ってみても、クリスマスに何もしないのはなんだか寂しい、という感覚はある。それは実は根が深いんですよ。そんな話と曲を少々。
今日は赤坂で、来春の日本舞踊公演に向けた打ち合わせを千麗先生と。
061220_211001
■■■ブックリスト「野生の肉体と脳に出会う」本■■■
小学校の体育の時間というのは今思い出してみると、「ただ走り、速さを競わされ、計測する」時間でした。肝心の「速く走るにはどうしたらいいのか」を先生に教えてもらったことがなかった。
同じように国語の時間というのは、「漢字を覚え、文章を読まされる」時間であって、言葉のコミュニケーション力を養う方法はほとんど教わったことがない。また歴史の時間は有史以後の年号を覚える時間で、近年重要視されている先史時代の日本文化を知ることはなかった。
ここで紹介する本は、僕や多くの人が学校で身につけることが出来なかった「肉体の一般教養」「ことばの一般教養」「先史日本人についての一般教養」のために読んだ本です。とても重要かつ面白い考え方なのに、いまの学校教育の外側にあるという意味で「野生の教養」だと思いながらまとめました。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
●「詩人・評論家・作家のための言語論」 吉本隆明
“肉体”と同じく”言葉”も、空気のようにその存在を忘れがちなもの。
仕事としてそれをあやつるには、やっぱり自覚的でありたい、という人へ。
●「ベロボディアの輪」 オルガ・カリティディ
日本人のルーツの一つとして注目されるユーラシアのアルタイ地方。
そこに生きるシャーマンが、現代人の僕に多くのヒントをくれる。
●「カイエソバージュ1 人類最古の哲学」 中沢新一
“いま”を読み解くカギが石器時代の神話にあったということです。
哲学・詩・物語の根源にあるものとは?
●「原初生命体としての人間」 野口三千三
「からだの主体は脳ではなく、体液である」という注目すべき”からだ観”。
立つとは?歩くとは?排便するとは?
●「世界の音を訪ねる」 久保田麻琴
現地に飛んで、土着の音を見つけては日本に紹介してくれる。
そんな久保田さんの人生と音楽が詰まっている。
●「身体の文学史」 養老孟司
養老さんは文学を語っても、やっぱり独特の視点がある。
●「あしたの太鼓打ちへ」 林英哲
自分の肉体に意識を向けるには、僕はギターより太鼓を叩くのがいい。
世界を旅する林さんと大太鼓のエピソード。
●「自暴自伝」 村上”ポンタ”秀一
ポンタさんの歴史=日本のポップス史。かつて歌謡曲が素敵だったのは、多くの録音でドラマーがポンタさんだったことも大きい。
●「声と日本人」 米山文明
日本語の”いい声”とは?発声を医学的に分析したその内容は珍しくも魅力的。
●「表現力のレッスン」 鴻上尚史
声や体を使う表現の入門として。演劇の人以外にも効果絶大だと思う。
●「フェルデンクライス身体訓練法」 M・フェルデンクライス
“肉体の教養”を身につける本。これは義務教育で教えた方がいい。人間が体を使って生きている以上、あらゆることの役に立つ。
●「出発点1979〜1996」 宮崎駿
宮崎さんのルーツを知るのは楽しく、心が豊かに耕される気分。
「日本人がいちばん幸せだったのは縄文時代」その意味は?
●「沖縄文化論—忘れられた日本」 岡本太郎
日本人はどこから来たのか。
沖縄に古くからある芸術品・踊り・祭祀などから見つけた”日本人=島人”論。
●「身体から革命を起こす」 甲野 善紀
一貫した独特の身体論を持つ甲野さんの本のうち、知るかぎり一番厳密かつ丁寧に語られている。
●「武術への招待」 甲野 善紀,井上 雄彦
こちらは漫画家井上 雄彦さんとの対談。
昔の日本人が持っていた身体感覚についてのエピソードがおもしろい。
●「「からだ」と「ことば」のレッスン」 竹内敏晴
“自覚すること”。これが表現の始まりだということに気付かせてくれた本。
●「勝者のエスプリ」 アーセン・ベンゲル
ベンゲル氏はオシム氏と並ぶサッカー界の哲学者。
監督経験を語りながら、論理的にサッカーの本質を教えてくれる。
●「黒人リズム感の秘密」 七類誠一郎
内容は「黒人リズム万歳!」から始まるものの、アメリカでのプロダンサー経験をふまえた日本人特有のダン論まで。他にはない秀逸なリズム論。
●「黒澤明、宮崎駿、北野武ー日本の三人の演出家ー」
テーマから逸れますが、映画大好きなんですよ。
インタビュー集です。質問の投げ方がロッキング・オン的で良いです。
●「The Mystery of Samba」エルマノ・ヴィアナ
ブラジルのサンバ以前・以後を正確に知ることができる論文。
広い意味でのポピュラー音楽がどう生まれたのか、想像がふくらむ本。
●「Verdade Tropical」カエターノ・ヴェローゾ(←洋書です)
ブラジルで60年代に起こったトロピカリズモ運動。
中心人物カエターノの語る「トロピカリズモの真実」。


1 Comment

  • アマゾンで本を。 2006年12月25日 at 9:26 PM

    オシム 知将の教え―「伝わる言葉」で強い組織をつくる

    これが、サッカー日本代表新監督・オシムの「伸ばす」技術だ! 珠玉の「オシム語」を76掲載し、スポーツ心理学で徹底的に読み解く。チームを劇的に甦らせるレトリックを学べ!

    Reply

Leave a Comment