野生の脳と肉体に出会う。

六本木の青山ブックセンターで打ち合わせ。12月中旬から一ヶ月、「野生の脳と肉体に出会う」と題して六本木店の店内で20冊、最近読んだうち良かった本をならべて紹介し、それに合わせた演奏も店内ですることになっている。
それはそうと、そのとき僕が店員Kさんに聞いたのは中沢新一さんのこと。中沢さんといえば最近ハマっている「人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉」に始まる一連の「野生の思考」シリーズや、アメリカやブラジルの先住民モンゴロイド、チベット密教、中央アジアのシャーマン、南方熊楠研究など、「対称性人類学」という思想で最近話題である。レヴィ=ストロースの人類学を元にしながらも、よりアジアに根ざした発想が超魅力的。
で、店内で出版記念トーク&サイン会などされたときの話
「20代の若い女性で大盛況だったんですよ!」
と店長さん。意外である。50代のオジサンが出した哲学・思想系の本としては、あまりにも”若いコ”受けしてるらしい。本もよく売れるという。
いや、でも分かる気がする。最近の中沢さんの文章は、思想なんだけど”理論”じゃない。僕が大学生のときは”ニューアカの人”というイメージのみだったけど、その領域をさらに超えてきた面白い思想です。
そしてさらに、話がとっても上手いとのこと。近著の発売元”ほぼ日”の糸井重里さんが、後ろで「うまいなあ」とうなりながらトークを聞いてたそうです。
なんだか美輪明宏さんの人気とカブって見える。現代人が見ようとしない”古き良き古代人”の話を、現代社会に照らして教えてくれる感じ。
そういえば僕より下の世代の女子と話していると、よく美輪さんの”古き良き古代人”的ないい話を聞く。ちょうど僕くらいの世代を境に、上に行くほど新しいモノ好きというか、消費型の欲望を肥大化させることに価値をおく人がふえる。それが世代の話なのか、年齢そのものの話なのかはよく分からない。30歳くらいを境に、お金の大事さが身にしみて分かっちゃう経験もするだろうし。
古〜い一戸建てに住みたい人と、最新のマンションに住みたい人では、そりゃあ価値観は違う。僕自身は、旧石器人が暮らした竪穴住居に1週間くらい住んでみたいと思うこの頃。
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人間が作った物しか目にすることのない六本木で、目に入った唯一の自然風景は雲。


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