うまいことおっしゃる。

UAの「Breathe」についての、remix野田さんのインタビュー&コメントなど。バッファロー・ドーターやボアダムスと絡めて、「近代合理精神の外側に共振しようとする」ロック、とは、うまいことをおっしゃる。野田さん、僕が知る限りではただ一人、哲学、思想を肴に一緒に飲めた音楽ライター。自分含め、音楽屋にそういうことが必要か否かは別としても、希少な人です。
あとは今頃になって、なものを2品。
映画「キッズ・リターン」(北野)。これは久々に感情移入して感動しました。人間の”知らずとこうなって行かざるを得ない”ことの悲劇を描いた点では最近みた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「エレニの旅」などと同じで哀しいのだけど、違いがあるとすれば、人間の描き込み方が日本映画的なところか。
すなわち監督や脚本家が作った物語のために人間がいるのではなく、こういう奴いるでしょ、でね、こいつがこんな目に遭うの、って感じで人間から話ができてることに、自分が親近感を持てるということ。例えると、アンゲロプロス氏は交響楽団の指揮者、たけし氏は文楽の太夫、って、そういうイメージの違い。どっちが良い悪いではなく。
「バカの壁」(養老孟司)。かつてのベストセラー。氏の話を編集者が文章化したもの。ゆえに言葉の定義などちょっと荒い感じはするが、内容は濃く面白い。でもアマゾンのレビューみたら、賛否がくっきり分かれててびっくり。そのほとんどは「泣けるって聞いてこの映画見に来たんですけど、全然泣けませんでした」的発言のようで、受け身の人には全く内容が解されてないことに悲しみ深し。これこそ「バカの壁」そのものなんだが。


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