文楽、人間国宝に会える町。

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国立劇場で文楽(ぶんらく)を見てきた。
写真は国立劇場の向かいの皇居、千鳥ヶ淵。

襲名披露の公演ということで、
歌舞伎ではよくあるこういった公演も、
文楽では初めて見た。

めずらしく、人間国宝の鶴澤清治や竹本住大夫までもが
ちょっとバタついた感のある内容だったけど、
最後の同じく人間国宝・鶴澤寛治の枯れ切った技芸に、
ようやく地に足がついた。

誰かが不調でも、誰かが好調。
客からすると、
全体としては、来て良かった、って思える。
いつも歌と二人で2時間演奏する自分からすると、
ちょっとうらやましい体制です。

ロビーでは、義援金の募金を呼びかけてました。
人形使いが人形を持って。
好きな風景だ。

終演後、飲みで銀座×3軒、帰り道に吉祥寺×1軒。

自分がなぜ東京に今も住んでいるか。
田舎から出稼ぎに来たわけでもないし、
東京がふるさとってわけでもない。

原発のこともあって、
地方へ移住、なんてこと考えてみたり。
実際3.11以降移住していったミュージシャンは
まわりでもちらほら出てきてます。
仕事があるからなあ、なんて、
放射能のことを考えると
理由になんかならないわけで。
それに音楽を仕事としてやり続けるにしても、
東京にいなくても、できます。
そういう白紙の状態で、
自分がなぜ東京にいるのか、
ってことをぼんやり考えてました。

ひとつ言えるのは、こうして気楽に街へ出て、
人間国宝の技が聞ける、見られる、
っていうこと、これは都市ならでは、
ってことをこの日は思ったですよ。
そこはだから、大阪でも地元名古屋でもいいわけで。
地方巡業とはまた別の話で。

「過密」の弊害がさかんに言われる今ですが、
ほどよい「集合」は豊かな文化を生む。
それは「田舎に行きたい欲」が盛り上がってる自分に、
ちょっと言い聞かせておこう。

都市の区内。
区外の都市圏。
都市から電車で何時間という田舎。

仕事っていうことよりも、
文化っていうことを軸に、
すみかを考えるってことが、
自分にとっては良いことなのかな、
なんて思い始めてます。